CRAIG MARTIN

Undermining the Rule of Law – Tokyo Shinbun Interview  

(Interview with Yoichi Takeuchi, in the Tokyo Shinbun, Jun. 30, 2014)

Martin-TS.Interview-Jun.2014

法の支配揺るがす ≪解釈改憲≫ 米の法学者はこう見る(東京新聞6月30日)

安倍政権は集団的自衛権の行使容認に向け憲法9条の解釈変更を7月1日にも閣議決定しようとしている。米政府や識者の多くは日本に集団的自衛権の行使容認をかねて働き掛けており、支持している。だが、政府の独断による解釈改憲は「日本の法の支配を揺るがす」と異を唱える法学者もいる。米中西部カンザス州のウォッシュバーン大学法科大学院のクレイグ・マーチン准教授(53)に聞いた。(アメリカ総局・竹内洋一)

-第1次安倍内閣の当時から解釈改憲には反対を主張してきた。その理由は。

「解釈改憲は憲法の改正規定を犯している。時の政権が不都合な条項を思い付きで簡単に変えられるなら憲法はもはや最高法規ではなくなる。『法の支配』を支える最も基本的で本質的な原則にも反している。法の下の平等だ。改正手続きを無視して解釈改憲を閣議決定すれば、内閣を法の上に置くことになる」

-閣議決定までの手続きも有識者会議や与党協議だけだった。

「憲法に定められた国権の最高機関である国会、違憲審査権を持つ最高裁には諮られていない。内閣の独断で改憲を宣言するのは、完全に違法で無効だ。憲法改正には国会での審議が必要だ。選挙に勝利した与党の協議でも、違法な手続きは正当化されない」

-安倍政権は「日本を取り巻く安全保障環境の変化」を憲法解釈を変える理由の一つに挙げているが。

「安全保障環境が変わったから、日本が集団的自衛権の行使を容認し、国連の集団安全保障措置に参加すべきだという提言には反対しない。だが、そのためには憲法を改正しなければならない。有識者会議はどこからともなく憲法に新たな条項を加えってしまった。環境が変わったから憲法はこう解釈すべきだなんていう議論は話にならない」

-憲法9条の解釈を変えることによって日本が米国の戦争に巻き込まれると心配する声も強い。

「9条は戦後日本の平和国家としての国柄を規定してきた。日本が国際紛争に巻き込まれないようにする盾にもなってきた。湾岸戦争当時、米国から派兵を求められても『9条があるからできない』と拒否することができた。解釈を変えれば、9条には何の意味もなくなる。イラク戦争のような戦争が再び起きれば、戦闘に参加するよう日本にすさまじい圧力がかかる」

-9条を守るべきだと。

「9条の理想を支持する人は、その精神を守りながら改正することを考え始めるべきだ。9条第2項『戦力の不保持』は公然と無視され、意味を失っている。自衛隊が存在するからだ。条文と現実の大きな溝を放置するのは危険だ。他の条項でも溝を許し、例えば表現の自由(21条)がないがしろにされかねない」

-オバマ政権は日本の集団的自衛権の行使容認を支持している。

「日本に地域の安全保障で責任を分担してほしいからだ。それが米国の国益と考えるのは短絡的だ。5年、10年のスパンで考えれば、地域の不安定化や日中間の緊張の高まりで、日本は安全にはらない。米国の国益にもならない。オバマ大統領が銃規制を強化するために私的懇談会を作り、合衆国憲法修正第2条の解釈を変えることはあり得ない。安倍首相は同じ事をしようとしている。米国は日本の解釈改憲に懐疑的であるべきだ」

合衆国憲法修正第二条 1791年に追加された。「規律ある民兵は自由な国家の安全保障にとって必要であるから、人民が武器を保持する権利は侵してはならない」と定めた。米連邦最高裁は2008年に修正第二条の解釈をめぐり、個人が自衛目的で家庭で銃を持つ権利を認めているとの判断を示した。米国で年間三万人が銃によって死亡する背景とも指摘される。

クレイグ・マーチン氏 モントリオール生まれ。カナダ王立国防大卒。カナダ海軍勤務。大阪大学大学院法学研究科で修士号、米ペンシルベニア大で博士号を取得。専門は国際法、戦時法、日本の法律。2011年から現職。

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Written by Craig Martin

July 1st, 2014 at 10:52 am